一体どうしたものかと思ったけど、誠人の考えてることが分かるはずもないので誠人が動いてくれるのを待つことにした。
…けど、さすがに動こうか?
『誠人。いい加減帰りな_____』
あぁ、一体なにが起きてしまったと言うべきか。
早く帰れと託そうとした私の方を向いて私の腕を今度は口の端ではなく、唇に…。
『どういう意味?』
「何の意味もねぇ」
『何言ってんの?』
「気にすんな」
気にすんなじゃないよ。
ねぇ、どういうつもりなの。
全く誠人の考えてることが分からない、何でこんなことしたの…これじゃあ、もう付き合ってはいられない。
『誠人…別れよう』
「何言ってんだよ」
『条件を破ったのはそっちじゃない!』
声を荒げて言うと誠人は口を閉じた。
…ここは許しちゃいけない、私のためにも。
もうこの思いには蓋をしなきゃ。
もしこの思いが届かなかったら、間違っていたら私は壊れてしまうかもしれない。
だから自分が壊れてしまう前に、私は彼に別れを告げるんだ。
「俺は別れねぇ」
『別れる』
「まだ1週間経ってねぇ」
『…ッもう勝手にすればいいじゃん!』
首を縦に振ってくれない誠人に腹が立ち、私はそう喚き散らしてマンションへと戻った。
さっきまで乗っていたエレベーターに乗り込んで自分の階のボタンをカチカチと押した。
そんなに押しても速く着くわけでもないのに私は押し続けた。
それは速く誠人との距離を広げたかったからだと思う。
一秒でも速く離れたかった。
バタバタと家に入り全てを済ませてベッドに入るや否や、目を瞑って眠ろうとしたけど中々寝付けず、結局眠れたのは夜中の2時すぎだった。