『どういうことよ』

「そのままの意味よ?」



このオバサンめ…。



『でもお母さんより私の方が綺麗だって言ってくれたもんね』

「な、何ですって…」

『どう足掻いても年には勝てないってことよ』



そう言い返すと、お母さんは酷い!と言って自分の部屋に籠ってしまった。


誠人はいいのか?と訊いてきて「まぁ、いつものことだから」と答えといた。


お母さんはいつもあぁだ。
絶対私に勝てないのよね。



そしてしばらくしたら機嫌が直ってるのもお母さんのいいところ、というのか。




食べ終えた皿を洗っていると、お母さんは部屋から出てきてお腹すいたと言った。



どっちが子供なんだか…。



相変わらずの母に思わず小さく笑ってしまった。

お母さんのハンバーグを温めて皿に盛り付ける。



それを1人で黙々と食べていくお母さんなんだけど、いつも口に入れすぎる癖があるもんだからリスみたいで可愛らしいところがある。




「じゃあ俺そろそろ帰るわ」




と同時に席を立った誠人は鞄を手にして玄関へと向かった。




下まで送ってくるとお母さんに言い、再び動く箱に乗り込んでエントランスへと向かった。



マンションの外に出たはいいけど、まさかの誠人が中々帰ろうとしない。



「帰らないの?」と訊いても「帰る」と言ったまま足は動こうとしない。