「まじ早ぇよ」

『ラインしたとき寝てた?』

「あたり前だろ。てか、あれ仕返しだろ?」

『ふふ、そうかもね』




やっぱり朝のラインの意味を理解していた彼。

我慢できずに笑ってしまった。



今日も何も言われず差し出された手を自然と取ると歩き出した。




「もう女たちのこと気にしなくていい」




と、突拍子に言われた言葉に「え?」と訊き返すと気にしなくていい、ともう一度言われた。



気にしなくていい、とはもう何もしてこないって意味なんだろうか?



けどそれを訊こうとはせず「そう。ありがとう」と礼を言うと短い返事が返ってきた。



それはそうとどんな手を使ったんだろうか、そんなことばかり考えた。


学校に着くと中履きは落書きとか画鋲、生ごみなどはなくていつも通りだった。



てっきりやられると思ってたのに何もなくて期待外れな感じだ。



別にやって欲しかった訳でもないけど。

いつも通り2年の教室に向かう。

けど、おかしい…今日は明らかにおかしい。



逸らされる視線、ヒソヒソ話されずに静かすぎるおかしな廊下を歩いて着いたのは自分のクラス。



ドアに手を掛けようとしてその手をピタリと止める。


やっぱりおかしい、騒がしくない…いつもは五月蝿いくらいに騒がしいのに今日は入りずらいくらい静かだ。



違和感を覚えながらドアを開けるとクラスメートたちはいつもは読まない本を読んでいたり、小声で話し合ってたり、机に突っ伏していたりとあり得ないものばかり。