言ってることは分かるし、しっかりと理解もしてる。
けどやっぱり怒る気にもなれなくて「はぁ」だか「ほぉ」だか、そんな空返事をしていた。
ユカから視線を外して誠人を見ると!無言ながらもその目とオーラはしっかりと怒っていて…元ヤン怖いよと思った。
「ごめんな。それは俺が片付けとく」
口を開いたかと思うと出来るの?と思ってしまうようなことを言い出した誠人。
そんな誠人にユカは「当たり前よ」と怒りながら言っていて私は嬉しかった。
嬉しさのあまり頬を緩ますと「何笑ってんの?」とユカのお怒りの言葉再び。
だから思ったままに怒ってくれる親友がいて、心配してくれる親友がいて嬉しい、と言うとユカの顔は怒りながらも照れへと変わった。
本当、表情の忙しい親友だ。
「沙夜先輩、俺は?」
『え?』
「俺のことどう思ってんの?」
『え、好きだよ?』
「男としてか?」
『え、友達に決まってんじゃん』
「だよな」
『え?なんで?』
_______まさか私のこと好きなの…?
「沙夜先輩のことは友達としてじゃねぇとやってけねぇ」
なんだ違うのか…びっくりした。
ホッとした反面少しばかり心がチクリとした。
『私が誠人を好きになることはないよ』
自分の胸にも釘を刺すように吐いた言葉は思った以上にダメージが大きくて、朝見た汚い言葉の数々なんてどうでもよくなった。
そして、その時の誠人の顔は忘れることなんてできなさそう。
どうしてそんな顔をしたんだろう。
困ったような、悲しそうな…1つの言葉では言い表せない複雑な表情をしていたから。
その表情に私の心は痛んだ。