バカじゃないの!?
何をそんなあけすけに…!

そう詰ってやるつもりだったのに、水瀬は私の背中と膝裏に手を回し、軽々とソファから抱き上げてしまった。

「ちょ…待って待って待って!」
「暴れんな、落ちるぞ」
「いや、じゃあ下ろしてよ」
「やだ」
「……っ」

可愛い拒否の言葉にキュンとしている場合ではない。
本当にいわゆるお姫様抱っこの状態のまま、長い廊下を抜けて寝室の扉を開いてしまった。

下ろされたキングサイズのベッド。
そのまま上になる水瀬の顔が近い。

息を詰めた瞬間、ちゅ、と柔らかい唇が押し当てられる。

「…二回目」

ついどうでもいいはずのカウント数が口をついて出た。

それを聞き咎めた水瀬は「いくつまで数えてられるか試すか?」と意地の悪い顔で笑う。

壮絶な色気に飲み込まれそうになりつつも、このままされるがままなのも悔しいので反論を試みる。

「一度だってキスしていいだなんて許可した覚えはないんだけど」
「じゃあしたい。していい?」
「……っ」