伝えなくては。
今水瀬が私にありったけの想いをぶつけてくれたように。
心の奥底に抱えていたものを全部。
大事な彼に伝わるように。
「私、…恋愛が向いてないって思ったの。仕事が楽しくて、集中するとそれに一直線になっちゃうから。その…浮気されたのも今思えば仕方ないっていうか」
じろりと睨むような視線に慌てて首を振る。
「べ、別に卑屈になってるわけじゃなくってね?それまではどうにかして時間取ろうとしてなかったなって。かといって無理して時間作るとあんな風に迷惑かけて…。だからしばらく恋愛はいいやって思ってたの」
優しく握られた手が続きを促すから、そのまま話し続けた。
「浮気されて、他の女の影に嫉妬する独占欲みたいなのが人一倍強いんじゃないかって気付いて、そういう…モテる人は無理だなって思ってた」
だから、水瀬を好きになってはいけないと、ずっとそう思ってきた。
「水瀬が私に何か伝えようとしてるんじゃないかって思った時も…なんとか逃げられないかって、そればっか考えてた」
「うん」
「もしも…もしも私が考えてる通りの話だったら、何て答えたらいいのかわからなかったから」
ひたすらに勘違いならいいと願った。
私の自惚れならいいと思ってた。
心のどこかで、ずっと彼の気持ちを期待していたくせに。



