溺愛予告~御曹司の告白躱します~


「実際一緒にいるところもよく見たし、佐倉があいつの運転する助手席に乗ってるの見て吐きそうなほど嫉妬した。それで…あんな思ってもないこと言って佐倉を傷付けた」
「あれは…、うん。…ショックだった」
「ごめん、本当に。最低なこと言った。でも誓って本気でそう思ったわけじゃないから」

引き摺るのも嫌だと思って、その件については口を挟んだ。

それでも今水瀬が聞かせてくれている話を思えば、あの一言が本気じゃなかっただなんてわかってる。
ゆっくりと安心させるように頷いて見せた。

「佐倉が元カレと別れたタイミングで、ゆっくり俺を意識させようと気持ちを少しずつ見せていった。俺なりに本気だって、大事にするって伝えてきたつもりなんだけど…」

もう一度ゆっくりと頷く。
でも今度は、なかなか顔を上げられない。

「……伝わって、ないわけないよな?」

普段そこまで口数が多いわけじゃない水瀬が、こんなにも気持ちを言葉にしてくれた。

そのことが嬉しくて、どれだけ唇を噛み締めても涙が滲んでいくのを止められない。

ずっと蓋をして鍵をかけていた想いが、やっと解放されて言葉に乗ることを許される。

「……伝わって、る」

今も、今までも。

「ずっと…側にいたかった。いてほしかった。だから…『同期』に拘ってた」

俯いたまま話し出した私の言葉を、手を握ったままじっと待ってくれる。