インターホンを切り、アタシは扉の覗き穴から、最後に一目見ようと、彼の姿を目で探した。
「っっ……。」
そこから見たリョウマくんは……なぜか今までで、一番愛しい。
下を向き、涙を拭っている。
泣かないで…。
アタシまで、涙が止まらなくなるから。
彼を家にあげなかったのは、泣いてしまうと思ったから。
もう会わないと決心したって、好きな気持ちに変わりはないから。
冷たい女だよね…。
最後くらい、面と向かって話せばいいのに。
アタシの弱さが憎い。
どれだけ泣いたか分からない。
けど、気付けばもう朝になっていて、アタシの心の中を表すかのように、雨が降りしきっている。