無言だった。


 答えを出すことを諦めてしまったのだ。時間が経ちすぎて、もういいやと思ってしまった。
 その後も、ただシャワーから流れ落ちる水音だけが響き続ける。


 もう声は出せない、完全にタイミングを失っていた。ただ一言、それだけだったはずなのに、諦めてしまったのだ。


「……それじゃ、何かあったら呼んで」


 扉の向こうから、声が聞こえた。何の感情もこもってない声、けれど私は。


 やっぱり私の言葉を待っていてくれたんだ、と思ってしまい心の中で罪悪感が湧き上がってくる。


 もう扉の向こうに彼女の気配は感じない。
 体を洗ってしまおう、汚れと一緒に、罪悪感も流してしまえ。
 私は流れるわけがない罪悪感を必死に拭い去る、体に付いた泥水の汚れと共に。