その言葉に絶望する。
 そう、あの画像があるのだ。私に拒否権なんて最初からない、もう完全に言いなりになるしかないのだ。ここで三人に出会ったときから、もうこうなるって決まっていたんだ。


 ぐるぐると目の前が回る、何がいけなかったのか。出てくるのは死を願うことばかりだ。


 死にたい……。
 なんでこんな理不尽な世界で生きていかなきゃならないんだろう。こんな搾取され続けるなら、生きている意味なんてない。死んじゃえば、もう苦しむことはないから。
 もう誰も助けてなんてくれないんだから。


 急に私の息が止まる。


「っ――⁉ げぇっ! がふ……ごぼ……おぇえ……!」


 胃の中身がひっくり返ったように、酸味のある液体が私の鼻と口から吹き出した。
 またお腹を蹴られたらしい、今回のは特に酷い。お腹に殴打を受けすぎた影響か、吐き気が止まらない。痛みと苦しみで、私は左手を下に地面へ横倒れしてしまった。
 昼から何も食べてなかったのが幸いか。胃液以外は特に出てこない。


「うわーこいつ吐きやがった」
「早く言わないからこうなるんだよ」
「で、どうするの? やるの、やらないの?」


 もうイエスと言う道しか残っていない。ノーと言っても、痛いのが待っているだけで堂々巡り、それに写真という脅迫材料まで相手は持っている。


「三秒数えてあげる。それまでに決めてね? 三」


 私は朦朧とする意識の中で必死に声をあげようとする。


「っ――⁉ ――!」
「二」


 でも、声が出ない。
 起き上がろうとしては倒れてしまい、声を出すどころか、胃液が逆流してくる。


「う……! ぶ……おぇぇ……!」
「一」


 瞬く間に数字が減っていく。
 早く言わないと今度は何をされるのかわからない。だけど、声が……声が出せないのだ。


 嫌だ、誰か助け――


「ゼロ――」


 無慈悲にカウントは尽きる。それと同時に足音が聞こえ、あやかが迫ってくる。


「どうせ壊れていなくなるなら、最後にいい悲鳴くらい聞かせてもらおうか……なっ!」


 目に映るのはサッカーボールを蹴ろうとするように大きく振りかぶる足、狙いは私の――顔。
 恐怖に硬く目を瞑ると、それと同時か声が聞こえた。


「待ちなさい」