過去の回想から戻り、お店の外を見ると既に外は真っ暗。バッグからスマホを取り出し、時間を調べると夜の八時を回り、閉店時間の九時へと差し掛かっていた。
 プレゼント選びも楽ではなく、雨のことを考えながらだと時間が過ぎるのはあっと言う間。
 彼女については恐らく、今度の冬休みにわかる。頭の片隅にでも入れておけばいいものの、人間、気になってしまったものはとことん気になるようだ。


 雨は何者で、どうして私に良くしてくれるのか、それが一番聞きたいこと。それすらもわかるのだろうか?


「もう……また何か考えてるって、雨に言われちゃう。時間ないんだからプレゼント選びに集中しないと」


 そう呟き、頭を切り替える。


 長い間、ここへ居座って独白なんかしている私は、店員さんにとって不気味な存在に見えるかもしれない。
 チラリと陳列している女の店員さんを見ると、私の様子に気付いたわけでもなく黙々と作業を続けていた。


 そうだ。他人の視線が気になる、他人が自分を見て笑っているなんてよく言うけど、実際はすべてが被害妄想なのは知っている。
 誰かが見ず知らずの私について何かを考えているということは、ほとんどありえない。他人は思っているほど、他の他人のことなんて見てはいないのだ。
 それでも考えてしまうのは、自分が卑屈な人間だからかもしれない。これのせいで外は居心地が悪い、プレゼントが見つからないなら今日はさっさと帰ってしまおう。


 私はそう決めると、長々といたここから足早に退店しようとする。