私はどうすることもできず、この車の中で揺られ警察署へと向かうことになる。
 気分は最悪。死にたいと思う気持ちが頭の中で渦巻いて、何も考えることができそうにない。


 雨に何も伝えることができなった。


 彼女は私の危機を感じてくれたのかマンションから飛び出していたけど、乗っているのはこんな何の変哲もない普通車。これがパトカーだなんてわかるはずはないだろう。
 どうにかして連絡を取りたい。しかし、こういう時に今日に限って制服じゃないことが仇になる。これもソファを買った時の店員のせいだ。


 制服だと子どもとして侮って見られる。あの夏の日から、私用で外出する時はどんなに面倒臭くても制服を着なくなった。
 制服のスカートにはよくスマホを入れていたのだが、私服となれば別。この膝下まであるスカートのポケットにスマホは入れていない。肩掛けのバッグへと入れているのだ。


 バッグの位置は私の右足、太ももの横。
 幸い、後部座席にいる警官一人で両端に挟まれているわけではない。だが、それでもポケットと比べ、こっそり取り出すのは難しい。


 私の中で葛藤が生まれ始める。