君のブレスが切れるまで

「それじゃ、雨。買い物行ってくるね」
「一緒に行かなくても平気?」


 玄関まで見送りに来てくれる赤い眼の女の子、いつもながら過保護なのは変わりがない。けど、そうやって私のことを心配してくれるのは嬉しかった。


「別に子どもじゃないんだから大丈夫だよ。雨は怪我してるんだから、大人しく本でも読んでて? そのうち帰ってくると思うから」
「そうね……わかったわ、そうする」


 表情を変えないまま、彼女はそう言ってくれる。一人で出かけたいわけじゃないけど、私だってついでに調べたいこともあるのだ。
 玄関まで彼女に見送られ、私はその扉を開ける。


「それじゃ行ってくるけど、いい? 怪我してるんだから、無理なことしちゃだめだよ?」
「わかってるわ」
「うん、じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい、奏」


 私は笑顔を作り、その扉を締めるとマンションの麓へと向かう。
 来月はもう12月。まだ一ヶ月以上も先だけど、クリスマスが待っている。他にもプレゼントを渡せる機会といえば、雨の誕生日だったけどそれは叶わなかった。


 彼女の誕生日は6月、それを聞けたのは既にその日が過ぎ去った後のことだ。
 あの日、雨が私を助けてくれた日よりも少し前、その頃はプレゼントをあげるような仲ではなかった。だからクリスマスは私から初めて贈るプレゼントになる。できるなら秘密にして渡したい。


 その為に学校の休みに合わせ、こっそりと日雇いで働いていた。だが、外出する時間はかなり長い。それについて雨は何も言ってこなかったが、バイトをしていたことについては既にバレているかも。でもまぁ、プレゼントを贈るというのがバレなければいいだけ。