そういえばテレビという単語で思い出した。
 先日のニュースで、あやかたちのことについて報道されていたのだ。三ヶ月も前の出来事を今更報道する必要性に疑問を覚えている。もしかしたら私がテレビを見てなかったからであって、報道自体ずっとされていたのかもしれないけど。


 とにかく私が直接何かをしたわけではないが、関わっていたというのは確かなことである。事情聴取とかされたりしなければいいんだけど。


 視線をココアに向けながら内心そんなことを考えていると、それを打ち切るように何かの割れる派手な音がキッチンの方から響き渡った。


「雨⁉ 大丈夫⁉」


 私はすぐに立ち上がり、ダイニングテーブルへカップを置くと彼女がいるキッチンに向かう。そこには床に散らばっている白いガラスを片付けている雨の姿が目に入った。


「動かないで、ガラスが散らばってるから」
「だ、大丈夫だよ。私も手伝う――」
「いいから、奏はこっちに来るべきじゃないわ」


 遮るように言われるが、座っていた雨の手先から真っ赤な液体が床へと滴り落ちているのが見えた。
 割れたのはコーヒーカップのようで、破片でざっくりと切ってしまったのか。


「大変、怪我してるじゃない。後は私がやるから、雨は休んでて」
「ごめんなさい。私の不注意で」
「たまにはこういうこともあるよ。後で手当するね」