『ねぇ、先輩?』
『は……ひ』


 あたしは鼻血を吹き出している先輩の髪の毛を掴み、立ち上がらせる。


『お金、ないんでしょ? なら紹介してあげるって、ね?』


 もちろん言ってしまえば援助交際。お小遣い(・・・・)が足りない彼女の為、特別にあたしが紹介してあげているのだ。


『で……でも……わ、わた……し……』


 そのまま地面へと投げつけ、顔面を踏み――


『ひっ!』


 付けず、そのすぐ横へと落とす。


『それとも、もっと痛い目みたい? なーんて、もちろん……やってくれますよね、先輩?』


 あたしの微笑みに先輩は顔を絶望で染めながら、コクコクと首を縦に振ってくれた。


『あやか、おっかないなぁ……』
『怖いよねー。でも私はそんなあやか大好きー』
『そんなことはどうでもいいから……アポも取れたし行くよ。それじゃーね? 先輩? お金入ったら、予定通り徴収するから』


 ああ、楽しい。あんな絶望しきった顔を見るのは本当に楽しくて、笑いが止まらない。
 いじめて、イジめて、虐め抜いて。
 いなくなったり、壊れたりすれば次のおもちゃへと移る。
 高架下から道路へと出ようとした時、フェンスの向こう側にいつか見た女の子が駅の方へと歩いて行くのを見かけた。


『確か入学式の時に見た子だっけ、あやかの知り合い?』
『あやかの知り合いだったら、声かけてくるでしょー? ……? あれ、あやか……もしかしてー?』


 そっか、入学式の日にこの場所で見た子か。にしてもこんな簡単に見破られるなんて、あたしは感情を隠すのが苦手なようだ。
 しかしそれも仕方ないこと、新しい獲物を見つけたんだから。


『くくく、次のおもちゃはあの子にしましょうかね』