あたしはどんな時でも、何があっても上位の存在だ。社会的地位の高い両親の元に産まれ、甘やかされ、何不自由なく過ごしてきたあたしはすべてを見下していた。
 この世のすべてはおもちゃで、遊ぶあたしが楽しければそれでいい。
 小学生のあたしは髪をツインテールで結び、崩れた人形を蹴飛ばした。これで人形を壊したのは何個目だろう?
 この髪型は高校生になった今でも変わらず、トレードマークと言っても過言じゃない。


早乙女(さおとめ)さんとこの、彩夏(あやか)ちゃん。クラスで成績一番でしたよね? 賢い子ですよねー私のところの子にも見習わせたいくらい』
『うちの彩夏は賢いだけじゃないですわ、運もすごくいいんですの。この間だって……あら、彩夏、お人形を壊してしまったの?』
『違うわ、ママ。この子と遊んであげてたの。だけど、すぐに壊れちゃった。違うのを買ってほしいな』


 けれど、動かないお人形相手の遊びは飽きてしまった。壊されるだけしか取り柄のない人形をいくら買ってもらったところで、あたしの欲求は満たされない。
 なら、どうしようか――なんて実はもう決めてあったりする。