たしか私が風邪を引いて雨のアパートで寝込んでた時、帰ってきた雨が、傷だらけだったのを覚えてる。じゃあ……あの時、この三人に襲われた理由って私の画像を消すため?


 都合のいい解釈かもしれない。だけど、それなら辻褄が合う。
 あやかは証拠を消さないと、と言っていた。つまり雨は今でもなんらかの手札を……三人の弱みを持っていて、私を取引に雨のその手札を捨てさせようとしている?


「おい……話、聞いてたか? 早く呼べっつってんだよ」
「あやかは怒ると怖いから、早く呼んじゃいなって」
「もっと酷くなるよー? まぁ……その後でも酷くなるんだけどね」


 あやかの言葉は怒りをはらんでるけど、他の二人はからかうように言ってる気がした。
 頭を踏まれたまま目を動かし、フェンスの方を見る。
 人通りが少ない上に見通しが悪い。何かがあっても誰も助けになんて来てくれない場所で、みんな見て見ぬふりをしていくのを、私は今まで何度も見ていた。


 でも、どうしてか彼女が――雨が来てくれるような気がしたのだ。来てくれたってどうしようもないはずなのに。


「…………だ」


 私は何を言おうとしているの。こうやって酷い目にあってるのは、紛れもなく雨のせいだ。
 ……いや、本当は違う。雨がいなくても私の運命は変わらなかった。私は人のせいにばかりしている最低な人間だ。


「あ?」


 頭を踏みつけている足の上から聞こえる冷ややかな女の声。それに体が反応し、自分が恐怖しているのがわかった。声色で、意識的に相手が怒っているのがわかってるんだ。


「……や……だ」


 雨は私の為に傷ついてまでこの三人から、私を救ってくれようとした。雨は既になにか三人の弱みを持ってる。これ以上、私が……私が足を引っ張るわけにはいかない。だから、