「うっ!」


 ぐりぐりと靴底の感触が頭へと伝わる。


「こいつ使って消さねぇとな、あたしらの証拠を……。おい、お前。宮城を呼べ」


 証拠……? 一体、何の話なの? 雨になにかしらの弱みを握られているの?
 取り巻きの一人が私のカバンからスマホを取り出し、顔の近くに落とした。


「それで宮城を呼べ。電話番号知ってるんでしょ? 宮城を呼んだら、これ以上は痛めつけないであげる」


 それは悪魔の囁きのように優しい声だった。悪魔は甘い言葉で私を惑わせてくる。
 どうせ、私の援助交際の画像はこの三人が握っている。私に拒否権なんて――


「ついでにさぁ、こいつの新しい写真撮っとこうか? 丸裸にしたやつをさ」
「あやかエグいねぇ……こいつの画像は宮城に全部消されたから、撮っておくのは賛成だけどさ」
「じゃ、じゃあさ! 呼んだ宮城も逆らえないように、同じようにするとかどう?」
「はは、かわいい顔してあんたもエグい考えするわ……でも、あたしも賛成。つーわけで、早く宮城を呼びな。二人揃っておもちゃにしてあげるからさ」


 頭にかかる圧力が強くなっていくが、私は声をあげることを我慢した。そして考える。
 私の写真は既に雨が消してくれた……? だけど、どうやって? いや、そういえば……。


『三人組にやられたの。昨日の仕返しかしらね』