とんでもなく痛い。
 久々に受けたこの衝撃は暴力のなかった雨との日常から、現実の日常へと引き戻していく。


「うぅぅあぁぁぁっ! ひっ!」


 髪を引っ張られ私は無理やり起こされると、目前に三人の中のリーダー格の女、あやかの鬼のような形相が目に入る。いつもと喋り口調が違うのは怒りからなんだろう。


「あんま先輩をナメてんじゃねーぞ? あの女を仲間に引き入れようが、お前はあたしらのおもちゃなんだからよぉ!」


 髪が引きちぎられるかと思うくらい激しく振り回され、私の体もそれに着いていくように足を走らせる。そして、勢いのままに地面へと投げ飛ばされた。


「あぐっ! うぅぅうぅ!」
「確かにこいつがいない間、宮城にやられっぱなしだったからね……でも、久々にこいつが来たからって、あやかやりすぎじゃあ……」
「宮城とこいつって関わってるんでしょ? 宮城の噂もだけど、あの赤い眼、なんか……」
「あ? まさか、あんたらあの宮城とかいう女に怯えてんの?」
「そ、そんなことない!」
「私も怯えてなんかない! うんうん!」


 倒れ込んだまま体を丸め、私は聞き耳を立てていた。
 私が学校に行ってない間、雨が何かしたの? 明らかにあやか以外の二人は雨に怯えてるような感じだ。だけど、いつもより酷い目にあってるのは雨のせい……なの?