2017年 7月初旬


 梅雨の時期が終わり、とても暑い夏がやってきた。
 ビルが立ち並ぶ中の一つ、高層マンションの入り口。私は手を掲げ、太陽から目を守るように空を見渡した。
 暑い、でもまだまだ序の口、これからもっと暑くなる。だけど、私にとっては冷たい夏だったかもしれない。


 あれから叔父は病院へと運ばれたのだが、医師の懸命な治療も虚しく、あの世へ旅立った。
 叔父はあの日、ギャンブルで負けた腹いせに私を殴る予定だったのだろう。けれど、私がいなかったせいで浴びるほどのお酒を飲み続けていたみたい。それで夜中から次の日に渡る飲酒によって急性アルコール中毒を引き起こし、そのままポックリといった感じ。


 最期に電話をかけてきたのが私にだなんて、おぞましい。そこまで私を痛めつけたかったのか、無意識の内にかけたのかわからないけど、119番に電話をかけるくらいの頭はなかったのだろうか?