そのおかげの効果もあり、私の成績は上がっていった。

受験する頃には、お兄と晶兄が卒業した高校の合格ラインを取るまでになり、晶兄が久しぶりに家に顔をだした時は、受験日前日だった。

『いよいよ明日だね。緊張しすぎて頭真っ白になったりしたら、目も当てられないよ。誰も助けてくれないけど、大丈夫?』

毒吐きたいのか、心配してるのか、わかりにくいけど、こうして忙しい中、わざわざ前日に来たということは、励ましに来たんだと思えた。

『晶兄に教えてもらったんだもん。合格してみせるよ』

『おいおい、晶斗だけじゃないだろ…このお兄さまも親身になって教えてやっただろう⁈』

『お兄の教え方意味不明でわかりにくかったもん。結局、晶兄に連絡して教え直してもらったからね』

傷ついたように大袈裟に頭を抱えたお兄に、『淳弥は理論より感覚派だからな』と言いながら笑った。

それに対してお兄は、『俺の思考についてこれる奴はいないのか』

臭い演技俳優のように項垂れるお兄を前に、晶兄と私は、プッと吹き出した。

帰り際、晶兄がポケットから出して私にくれた指人形は、当時人気のゲームで、限定ボックスにしかついていなかった晶兄お気に入りのキャラクターだった。