「ねぇ、ご両親公認の仲ってどういう仲なの?」

やっぱり、その質問がきたかと頬がひきつった。

「小さな時から妹のように可愛かってもらってたので、兄妹のようにって意味だと思いますよ」

「そうなの⁈海堂さんって、篠原さんの彼氏じゃないのね」

「そうです。いないって知ってるじゃないですか!」

ムキになったが、彼女にはどうでもいいことらしく聞いちゃいない。

「彼氏じゃないなら、いいかしら⁈私、あんなふうに冷たい態度とられたのは初めてだから、気になるのよね。ねぇ、彼って歳はいくつ?」

「確か今年31になると思いますけど」

「どこに勤めてるの?」

「聞いたことないです」

確か、出版社に就職した数年後、転職したってことしか聞いていないなぁと、頭の中をよぎった。

「彼女いるのかしら?」

彼女がいることも知らなかったなぁ…と。
好きだと言いながら、ちっとも晶兄のことわかっていない。

凹んでしまっていて、つい、無意識に答えてしまった。

「彼、結婚してますよ」

小倉さんのガッカリとした表情に、たぶんですがと、心の中で付け足した。

「えー、ショックなんだけど…そういうことは早く言ってよ。昨日の彼を気になってた時間が勿体ないじゃない。えっ、でも待って!篠原さん、彼と手を繋いでたわよね」