(家族ぐるみか…あの時、結婚するって言ってたもんな)
改めて確認させられて、傷ついてしまう。
会場内は、晶兄のスピーチであちこちから笑いがあふれ、お兄は苦い顔をしていた。そして、その横で、結菜ちゃんはお兄を見て笑っている。
おめでたい席で、自分ごとで場を白けさせるわけにはいかないと、当時の2人の話でもりあがる両親の話に笑みを作り耳を傾けた。
母曰く、こうして2人の今があるのは、結菜ちゃんの我慢のおかげだと、私も同意する。
まだ小学生だった私の記憶は、いまいち定かではないけど、お兄が家に結菜ちゃんを連れて来たのは、高校の卒業前ぐらいだった気がする。
お兄をよく言えば、天真爛漫で、不思議と人を惹きつけ、リーダーシップを発揮する人物。悪くいえば、我が強く、思うままに行動する為、周りにいる人は、迷惑を被る。ようは感覚派なのだ。そして、好きな事に集中すると周りが見えなくなり没頭する。
お兄達が就職するまでは、ケンカもするけど笑顔の絶えない仲のいいカップルだった。だが、お兄がプログラマーとして仕事をしだした頃から、結菜ちゃんが泣く事が多くなり2人は破局を繰り返していたと思う。



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