(ありがとう、結菜ママ)と目配せに、にこりと笑い返してくれた。

さすが、結菜ちゃんのママだ。結菜ちゃんの物分かりがいいところや、優しいところは結菜ママに似たのだろう。

あんなお兄と、よく10年近く我慢して付き合っていたものだと尊敬する。

ほんと、あの2人は、これまで色々とあったが、心の広い結菜ちゃんがお兄をずっと好きで待っていてくれたから、お兄は結婚できるのだと思う。

私が晶兄に振られた時も、友達はただ慰め、そんな男忘れてしまえと言うだけだったが、彼女は慰める言葉より、ずっと一緒になって泣いてくれた。

振られたからと言って、嫌いになれないと彼女もわかっているからだ。

言わば、同志だ。

よくお兄抜きで出かけたり、結菜ママと女3人でショッピングにも出かけたりして、結菜ママとも仲良くなり、2人が一時別れた後も仲良くしてくれて、私の大事なお姉さんともう一人のママだ。

結菜ちゃんを泣かせたら、お兄を絶対に許さない。ギッタンギッタンにしてやる。

先に準備ができた私だけ親族控室に向かっていたら、ロビーに背の高い目を引く男性が入ってきて、結菜ちゃんの友人達が色めき立ちだした。

晶兄…

いざ、本人が現れると心臓はバクバクして、胸が苦しくなり、逃げるようにメイク室へUターン。