そして、わざわざ買ってきてくれたらしい合格祈願のお守りも一緒だった。

『僕が教えたんだから受かるに決まってるんだけど、ノンちゃんは、緊張しいだから頭、真っ白になったらこれ見て思い出して。終わったら頑張ってきたご褒美にノンちゃんの行きたいところに連れてってあげるよ』

『ほんと』

喜んだのも束の間

『不合格なんて許さないよ』と、デコピンされて、ベーと舌を出した。

当日は、指人形とお守りを制服の内ポケットに入れて挑んで、見事、合格。

家族全員ではしゃいだ記憶まで蘇ったところで、下の階で母親が急かしてくる。

「今、降りるって」

ふと、目についた勉強机の上の棚。そこに飾られている指人形とお守りは、あの頃と違い色褪せして汚れてしまっていた。

懐かしみながら、なんだかんだと既に着替えていて、ドレスがシワにならないように大きな紙袋に入れた。もう一度、机の上の指人形を見てから階段を降りて行く途中、そういえばと思い出した記憶。

合格祝いの晶兄とのお出かけを誰かに邪魔されると思っていなかった。先々で晶兄の知り合い(女)に会う度に妹みたいな子って言われ、6歳差を埋めれない幼い自分が悔しかった。

結局、歳を重ね歳の差を感じないまで大人になっても、恋愛対象にはなれなかったけど…