ぱちり。

目が覚めると、僕はある場所にいた。
さっきまで夜で、僕はベットに横たわって寝れないな、と呟いたところだったのに。変な夢でも見ているのだろうか……。しかもベットには寝ていない。頬がひんやりする。
感覚神経が働いているから、ここは夢では無いと考えて良いのだろうか。

意識がハッキリしてきて辺りを見渡すとある場所がどこだか分かる。
体育館だ。そして僕は舞台にいる。
無論、僕は高校生であるので、自分の高校の体育館にいることはおかしくないし、部活でも体育館を使うので馴染みのある場所ではあるが、今は夜で、誰もいないはずの体育館に僕だけがいるのに、違和感を覚えた。

舞台からひょいっと降りて、見渡してみた。
ここから出ようと出口に手をかけた時、

「あーー!そこそこそこ!逃げるんですか?」

男とも女ともとれない中性的な人間の声が体育館に響いた。体育館の音響からその音は出ているので、放送室か、体育館内のマイクとか…からか。

………………………

「逃げるんですか?」が自分に向けられているとは思わなかったのでまた扉に手をかけた時──

「何無視するんですかーー?そこの体育館にいる人ですよ!まったくもう」

どうやら僕に向けられた問だったようだ。

「聞きたいことは山ほどあるんですけど。説明してもらっていいですか?」

「むー。なんて固い人。そんなんだから女の子にモテないんだぞっ」

「………質問の答えになってないですが」

「ふふっ。君ってほんと面白い。いいよ。説明したげる」