ガラガラガラッ

みんなの視線がこっちを向く。

「あっ」

やっちゃった。

「すみません!教室間違えました!」

前の教室入っちゃった…恥ずかし…





ガラガラガラッ

今度はあってる。まだせんせいも来てないみたい。

自分の席に座るとあることに気がつく。


陣くんと席が遠い!!
最悪な日だ…なんて思ってると、先生が入ってきた。
五十代ぐらいのおっさんだ。

「えー、これから一年間、担任をさせてもらう。教師の崎谷(さきや)だ。よろしくな。」


よろしくおねがいしまーす、と返事をする。

はぁ、イケメン先生だったらな、と内心思いつつ、先生の話に耳を傾ける。


「えー、今から席替えをする。男女隣同士になるように、くじを引いてくれ。」


え、今なんて?せ、せきがえ??

待って先生入ってきてソッコー席替えとかある?しかも始業式の日に!


ラッキー!陣くんと近くなるチャンス!


…結果は。

陣くん、私の3つ後ろの席にいっちゃった…
隣は岡崎くんっていうぽっちゃりめの男の子。

陣くんの隣は…

「やったぁー!!陣くんと隣だ!よろしくね❤️」

あーめっちゃもてる感じの…あ、広川さんだ。ダメだ。陣くんとられた。

「一学期はずっとこのままだ。オーストラリアのホームステイの時も隣の人と二週間過ごすことになる。仲良くなっておくように。」


はぁ、最悪。陣くんと二週間入れるなんて羨ましいなぁ…
そんなことを思ってる私の後ろから楽しそうな声が聞こえる。


「よろしくねぇ、陣くん❤️」


「では、ホームルームを始める。」


「先生、ちょっと待ってください。」

あれ、陣くんの声だ。どうかしたのかな。

「俺、目悪くて一番後ろはきついです。岡崎くんと変わってもいいですか?」


「自由にしろ。」と先生。

「えっ?えっ?えっ?」とあせる広川さん。

「ありがとうございます。」と陣くん。

誰の隣だろうなー。隣の人いいなー。なんて思ってたら。


「よろしくね、如月さん。」


えっ、えぇぇー!?
焦りを隠しながら静かに言う。

「うん。よろしくね。」

ヤバイ、後ろからめっちゃ視線感じるわ。


こわいこわい。

半分嬉しくて半分怖くて、複雑な気持ちで授業を受けることなった。

陣くんに、「足、大丈夫?」って聞かれたときは怪我してよかったなんて思ってしまった。

て言うか、なんで私の名前知ってたんだろ。