放課後、僕は凛兄のいる病院へやって来た。

「……凛兄……」

僕は病院で眠っている凛兄の姿を見て、凛兄の名前を呼んでみる。

「……ごめん。僕が悪かった……だから、早く目を覚ましてよ」

今から約1年前のことを思い出していると、僕の目から涙が零れた。

凛兄は車に轢かれそうになった僕を突き飛ばして、事故に巻き込まれたんだ。

「……何で……代わり、に……僕が、轢かれたら良か、った……っ、のに……」

涙は止めどなく溢れてくる。涙は、僕の着てる制服に落ちていった。

「……ごめん。ごめんね……凛、兄……っ」

急に後ろから誰かに抱き締められて、僕は後ろを見た。

「……アイ、ビー……何で?」

「……妖魔がこの世界に現れたそうなので、見に来まして……そしたら、たまたま冬都(ふゆと)の姿を見かけて……」

アイビーが言った瞬間、近くから大きな妖魔の気配を感じて、僕とアイビーは顔を見合わせると魔法で姿を消して、気配がした方へと走り出す。

妖魔がいたのは、病院の屋上だった。テオとは違う大きな妖魔。狼を大きくしたような姿をしてる。

「……冬都……あの妖魔、見た目の割には素早い動きをします……気を付けてください」

そう言って、アイビーは剣を構えた。僕もフォルトゥナで使ってる刀を作り出して構える。