「ねぇ、ミカ」




嗚呼、始まった始まった。


もうすでに声のトーンが違うトシヤさんにドキドキが止まらず、さっきから口角も上がりっぱなしだ。


ミカさんも「何?」と返しているけど、さっきの威勢はどこにいったのか、声も少しだけ弱々しくなっている。


そう、これがたまらない。




「さっきの何?」


「何って、急いでたから」


「別に走るのはいいよ。ミカから手を繋いできたしね」




そう言われているミカさんはきっと頬を赤く染めて照れていることだろう。