忘れていたことを指摘され、笑って誤魔化してみたけど誤魔化しきれるはずもなく___「バカが」って怒られた。
きっと時雨さんはまだ根に持ってるんだ。私みたいな雑草女にキスをされたことに。
だから目も合わせてくれないし、喋ってくれることもしない。
ノーカンにしてって言ったけど、忌々しい記憶がこびり付いていてそれが理由で私の顔を見るのも嫌で仕方がないとか。
きっとそれだな。
「時雨さんすみませんでした。今までいろんな経験している時雨さんとはいえ、こんな雑草女からされたキスなんて気持ち悪くてある意味記憶に残ってしまいますよね。ですので、お詫びに煮るなり焼くなり好きにしてください」
さぁどうぞ、と言わんばかりに彼に向けて両手を広げるとポカンとしたままの時雨さん。
煮られたり焼かれたりの覚悟はできているというのに、時雨さんは眉間にグッと皺を寄せたまま私を睨みつけている?



