私が声を張り上げたことに驚いた時雨さんは、目を見開いてやっとこっちを見た。
また目を逸らされても困ると思い、私はその瞬間を見逃さず、彼の両頬を掴み固定してがっつり見つめ合う。
はぁ…この間にある机が邪魔でしょうがない。
なら、と私は椅子からお尻を離して机によじ登ると机に腰かけて時雨さんと向かい合った。
さっきよりも近い距離、さっきとは違う目線。
いつもは私が見上げるのに今は私の方が少しだけ高いから、時雨さんの視線が下から感じる。
「さて、どうして私を避けるのか訊いていいですか?」
「別に」
「別になら避ける必要はないでしょう。ねぇ、私何かしました?」
「それ本気?」



