自分の恋より、他人の恋




「で、これがアンタらの見たがってた小夜の本来の姿」




え、私の本当の顔を見たがってたって何?


カップルを見ながら首を傾げると「普通に可愛い」とか「なんであんな地味な格好してんの」とか色々な言葉が飛んできた。


それらを全て聞き取れるはずもなく、質問に答えきれるわけでもなくアワアワしていたら頭上から「もう満足でしょ」ってちょっと不機嫌っぽい翔和さんの声が聞こえ見てみようとしたら逞しい胸板に押し付けられて視界は暗くなってしまった。




「俺の小夜、もう見ないで」




これって、そういう意味なの…えっと、それはつまり。




「翔和が嫉妬してる…え、マジで?マジで?」




___翔和さんが嫉妬してる姿なんて初めて見た。