自分の恋より、他人の恋




私の特別は時雨さんだけですから。




「ねぇ、小夜」


「はい」




名前を呼ばれて彼と視線を合わせれば、彼はこれまで見たことのない表情というか…瞳をしていた。


燃えるような、目の奥に熱を含んだような熱い瞳。



こんな時雨さんは見たことがない。


こんな時雨さん、私は知らない。




「…時雨さん?」




何か起きるような気がして、唇をキュッと一の字にして少しだけ身構える。


「キスしたい」


「へ…?」




キスがしたい?

鱚じゃなくてキスだよね?




「きき、キスですか…?!」


「うん。キスさせて?」


「なッ…」




そんな可愛らしく首を傾げておねだりなんてされたら「いいですよ」って言いたくなる。


だけど、でも、こんな今からしますよって雰囲気で今までしなかったから意識しまくりで恥ずかしいし、心臓が五月蝿い。



「ダメ?」