バクバクと五月蝿い心臓に鎮まれ鎮まれ、と命令するもやっぱりいうことを訊かない。



熱く感じる頬に手をあててさっきのことを思い出す。


はぁ…もうダメだ、きっと今人生で一番赤くなっているかもしれない。



鏡で確認せずとも真っ赤になって林檎のような顔をしているんだろうな、と安易に想像できた。




「あの、こ、ここで大丈夫です」




家まであと数メートルという所で足を止めて彼にお礼を言う。



ちゃんと玄関まで送ると言う彼だけど、男の人とこんな時間に2人でいるところを見られてしまったら大変だ。



お父さんは寝込みそうだし、お母さんとお姉ちゃんは絶対喜んでキャッキャと盛り上がりそうだし。




「やっぱり、ここで大丈夫です。すぐそこなので」