「ねぇねぇ、見て慧太!すっっっごく可愛いっ!!」


今日の放課後は慧太とウインドーショッピング!
新しく出来た大型ショッピングモールで私達はペットショップで子犬を見ている。

「やーん!こっち見てプリプリ尻尾振ってる〜!可愛い〜!いい子でちゅね〜!連れて帰って、食ぁべてやろうかぁ〜??」

「変なあやしかたするんじゃねぇよ」


子犬と戯れる私を見ながら慧太は顔を引きつらせて言った。


「私ね、夢があるの。」

「………。」

「大きな一軒家を建ててね、それも吹き抜けのお家でね。お庭も広くて、休日はみんなとそのお庭でバーベキューしたりして…」

「ふーん」

「わんちゃんも迎えて、ゆっくり過ごしたい日はわんちゃんと3人でお庭で陽の光を浴びながらハーブティーを飲むの…」

「ふーん」

「それから3人だったのが4人になって…」

「………。」

「慧太との赤ちゃんが増えたりして!きゃーーー!!って慧太?あれ?いない!」


周りを見渡すと慧太は姿を消し、私一人が喋っていたそうでペットショップのスタッフさんが憐れむような顔で私を見ていた。


「ちょっと!慧…っ」


その場を離れペットショップの中を探すと、慧太は子猫の前で棒立ちになっていた。


「触ってみられますか?」

「え、」

「どうぞどうぞ」


顔を赤くした女性スタッフさんが慧太に話しかけ、子猫を出し慧太にそっと渡した。


「可愛いでしょ?マンチカンって言って猫界のダックスフンドで足が短いのが特徴的で…」


女性スタッフさんが目を輝かせながら話しかけているが慧太は黙って腕の中にいる子猫を見ている。


「ニャー」

「………。」

「!」

子猫が大きな目で慧太を見つめか細い声で一度鳴くと、ふと目元を緩め慧太は子猫の頭を撫でた。


その様子に話しかけていた女性スタッフも話すのをやめ、慧太の横顔を顔を赤くしながら見つめている。


「…ありがとうございます。」

「え、あ、はいっ…!」

慧太はいつも通りの表情に戻り子猫をそっとスタッフさんに返した。


「…うち、手のかかる小動物がいるんで」

「えっ、そ、そうなんですね!じゃあまた、その子のご飯でも買いに来て下さい!」


慧太は会釈するとそのままその場を離れて行った。

慧太の普段あまり見る事のない柔らかい表情を思い返しながらスタッフさんの後ろで私も慧太の後ろ姿を見送った。


「か、かっこいい…」


我が彼氏ながら最高にカッコいい!!
一瞬でいいからあの子猫になりたい!!