言葉は、
「——————言葉は、救えると思う」
私は光を握っている。
私たちは、その可能性を秘めている。どれだけどん底に落ちても。もう重なることがなくても。傷つけた言葉であなたに伝える言葉がもう見つからなくても。遠くで生きて、たしかに生きて、傷つけたあなたがそこにいるのを私は絶対に忘れない。
他人になんかしない。あなたをあなたごと全部なんて、許してもらおうなんて、絶対に思わない、けれど。
「その光の道を行け」
背中から届いた声に振り向けば、背を向けていたイッサがそのまま前に踏み出した。
モニカちゃんなら大丈夫、と唇が謳った。口遊んだ声は音になり、鼓膜を震わせ、鼓動を穿つ。右に心の臓を持つきみよ。
もう、二度と出逢えない孤独だったとしてもいい。剥がれて生まれる。惰性憂鬱を剥がした故郷へ、人間の繭へ、いま帰ろう。
帰ろうよ。がらんどうのこころごと、ちっぽけな修復で。
「…ばいばい」



