星空とミルクティー

 背中を向けて、駅に向かって歩き出す。置いていかれないように早足で隣に並んだ真雪が不意にあたしの手を握った。

 驚いてその横顔を見ると、くしゃくしゃの笑顔を向けられる。



「俺がいなくなったら寂しい?」



 試すような顔。

 正直に言ったら、ずっと一緒にいてくれるのか。
あの狭い部屋に。ものばかり溜まっていく部屋に。

あやうく、わがままを言いそうになって言葉を探す。



「……全然。部屋、隣だし」

「そうだよね」



 ほっとしたような顔を見せられて、あたしの答えが正解だったと悟る。

少し泣きそうになって、気づかれない程度に繋いだ手に力を込める。

この気持ちは、言わないでしまっておくことにした。
真雪を困らせたくない。