中からは背の高い生徒が一人出てきた。
辺りが暗くて顔はよく見えないけれど。さっきとは違う声の男の子だった。
「鬼いる?」
「いや、今は遠いはずです。二棟で……」
「肩車しても大丈夫?」
低い静かな囁き声。
「はい、すみません……大丈夫です」
「捕まってて」
男子生徒の首回りに足をかけて、座ると、壁に手をつきながら立ち上がる。
ぐっ、と思い切り天井に突き上げられたみたいに体が持ち上げられて、思わず声が出そうになった。
私重いだろうな、迷惑かけていないかな。鬼が来たらどうしよう。
こんな短時間でさえ不安で不安で仕方がない。



