最後の悪夢



なんなら今の方が危ない。

もう長い時間鬼が来ていないなんてあり得ない。そろそろ見つかる。

私はトイレを出ることを決意した。二棟の三階。目指すのは一棟の三階の屋上へ続く梯子。

ここからはかなり遠い。

一度二階に降りて、渡り廊下を渡ってもう一つ上の階に上らないと。

逃げられる廊下のほとんどを使う大移動。ハイリスク。死ぬ気でいかなきゃ。

立ちあがってスマホをポケットに入れ、震える足をさする。彫刻刀を片手に目を閉じたまま、個室の扉を開ける。


ドキドキしながら数秒待って、ゆっくり目を開き、なにもいないことを確認する。慎重に、慎重に。