最後の悪夢


教室でもないから時計の音も聞こえない。用を足しても流すことはできなかった。というか、その時点で見つからないかが不安で仕方がなかったんだ。

静かすぎて怖いんだ。

足音さえ消してしまえば気づかない。今目の前に鬼がいても私は気づかない。

今目の前に鬼がいたらどうしよう。
鍵を開けられたら。
扉を叩かれたら。


考えただけで体の震えが止まらない。


ごくたまに誰かが下の階の廊下を走っていく音がして、それがまた私を恐怖させるのである。

頭がおかしくなりそう。
指を噛んで正気を保とうとする。指の腹を噛む度にその痛みで、生きていると実感する。