入川くんは私に連絡先を交換するように頼んできた。
私はびくびくしながら、スマホをポケットから出して彼の言うとおりにして、連絡先を交換した。そして、
「今はお互いのために別れる。でもスマホ見ておいてほしい。連絡する」
「うん……」
ドアを開けて、私は非常階段の方に出るように言われた。入川くんは左に続いていく廊下の方に行くらしかった。
さっき言われたことも、なにがなんだかわからないまま。でも、……私のこと、守ってくれるって、言った。
入川くんが走り出すと、私も外の非常階段へ続くドアを開けて走り出した。「こっち来いよ!」入川くんが叫ぶ。
鬼を引き付ける気なんだ。



