「来た?」
囁き声で入川くんが言う。
私は静かに頷いた。
「まとまってると危険かな。別れて、大丈夫?」
入川くんは、お互いの身の安全のためにもここで別れることを提案した。私は勿論反対だった。
一人ぼっちになりたくないと思った。でもそれはわがままだから……
急かされる空気のなか私が、意を決して「そうしよう」と言おうとしたのだけれど。
「いや、違うな……俺、本当は、マジで守ってあげたいんだよ。クソ……カッコ悪いな」
「え?」
何故か入川くんが一人で葛藤していた。
そんな場合じゃないのに、と思ったけれど、次に入川くんが言い放った言葉は、
「俺、守るよ。一緒に逃げよう」



