感動の再会とまではいかないし、一年前に彼が私に告白してくれたまま自然消滅、という気まずい仲。 だけど今再会するには十分の、小さな縁だった。 「俺のこと覚えてる?」 「はい。一年前ぐらいに……あの……」 「うん、いいよ。恥ずかしいから」 入川くんが赤面して苦笑いした。 こんなこと話している場合じゃない。 でも、現実逃避したくて仕方がないんだ。怖くてたまらないんだ。 そんな再会も束の間、がらがら、と引き戸が開く音がした。──隣の、美術室。