息が止まりそうになったのは、紛れもない、準備室のドアが開いたからだ。
足音は聞こえなかった。机の下で、じっとする以外他になかった。顔を伏せて、身を小さくして気配を沈める。
はいている靴を見ていなかったから、もしかしたら生徒かもしれない。ただ、違ったらもう……
ドクドクドクドクドクドクドクドク
心臓が、痛い。
今、みんな、どこでなにをしているの。
ちらり、と少し顔をあげれば、そこには自分と同じ色のスリッパが見えて。
でも、でも、もしこれを履いているのが鬼だったら、って思うと、怖くて。
次の瞬間、机の下を覗き込んで笑ったその顔に驚いて、私は思わず悲鳴をあげてしまった。
「きゃあああああああああ!!!」



