最後の悪夢


そうだ。そうだった。



『俺、旭のこと好きだよ』


血の匂いの纏わりつくあの日々をこんなにも愛して守ってくれた。



「なあ......」



【最後の悪夢】という名にも等しい。私が今まで見てきた中で最初で最後の、一番酷い悪夢だった。

こんなものに囚われて、私がいつまでも思い出さなかったらどうするつもりだったんだろう。




「海の見える旅館とか、いいよなあ」



凛上がぼんやりと呟く。

ぽろぽろと目から涙が溢れてきた。