そんなの申し訳ない。でも私は、本当に友達でいたかった。こんな素敵な人が友達だったらきっと幸せだろう。いつだったか、暗い場所で彼と話したことがあった。その時も同じようなことを考えたんだ。
「うん、いいよ」
凛上は静かにゆっくりと目を伏せて、瞬きをしてみせた。そして、
「友達になったらなにしたいの?」
撫でるような優しい声で、尋ねてきた。
私は嬉しくなって、はにかむ。
「お泊りしたいかも」
「ええ? お泊まりは、ハードル高いでしょ。あと危ない」
「でもしたい」
「俺はホテルより旅館がいい」
「あ、それ! 私も思った」
偶然にも思い描いていた風景と重なった。
凛上が、思い出に還るように、夢でも思い描くように呟いた。
「窓を開けると風が気持ちいいんだ。外を見たら浜が見えてさ、そこの景色がすごくきれいなんだ」



