「旭が辛いよりずっとマシだよ」
きっと私のことをこんなに大切にしてくれる人なんて、もうこれから先出会えないんだろう。心が温かくなる。向かいの窓の奥の景色が流れていく。当たり前だけど行きに見た景色と同じだった。
踏切の上を通って少し後だった。
「三日目は、自由時間だったんだ」
電車が線路の途中で止まった。
間もなく、車内に小さな声でアナウンスが流れた。
《運転間隔の調整のため、一時停車致します》
田んぼと山と青空だけが映る向かいの窓。
私は、なんとなく、この電車を降りた後には彼との繋がりが消えそうな気がしていた。だから繋ぎとめるようなことを言おうとした。
「これからも友達でいてほしいの」
凛上が嫌だったらそれでいい。だって実質凛上の片思いじゃないか。



