連絡をとっていた時から違和感はあった。電話をしていて過去の話をした時、話がよくかみ合わなかった。大体は私に“その記憶が無い”ことが原因だった。
それでも凛上は、「やっぱり俺の勘違いかも」「この話はまた今度にしよっか」と、上手に受け流すんだ。私が不安にならないように、私を守るみたいに。思えばよく笑っていたのも、私を傷つけないためだった気がする。
でもそれが増えてくると、私か凛上のどちらかが間違っているような気がしてきた。
凛上は私の知らない事ばかり知っていた。そしてそれは、秋の日のことばかりだった。
探るように凛上に問った。どれも鮮明な記憶ばかりだった。
学校でよく話した。無理してばかりだったと凛上は私のことを心配した。部活をやめたことを打ち明けてくれた。私達は一緒に旅行もしていた。どこに行ったのかは言ってくれなかったけど。



