ぺたりと床に座り込んだら、頭が真っ白になって、ああだめだと思って、周りの景色が急にスローモーションになった。


私、死ぬのか。

こんな、ことが……あってたまるか。



そう思った刹那、後ろから「旭さん!!」と私を呼ぶ声がして、私ははっきりとした意識を取り戻した。


次にまばたきをした時には、私は立ち上がって、今度は無意識のうちに走り出していた。


振り返れば、私より先に捕まって悲鳴をあげた女の子の喉に向かって、鬼がナイフを突き立てようとする動作。


私はすぐに目線をそらし、まっすぐに無我夢中で走った。