最後の悪夢


通りの方を見れば、もうその人物はいなくなっていた。
私はほっと胸を撫でおろす。

凛上が、そんな変な私に優しく言った。


「大丈夫じゃなかったら言ってな? ここ、......うん、そうだよな。思い出すよな。もうここは出ようか」


なにか深く考えているような彼に、疑問を抱く。


「思い出す? なにを?」

「旭が嫌なことだよ」


............?
私はなにも分からなかった。そんな自分のトラウマのあるような場所にこの人は私を連れてきたのか、と思った。凛上、なにをしようとしているんだろう。嫌な予感がして仕方がない。気分が、悪いよ。


「もう少し遠出しよう」


私はもう帰りたくなっていた。それなのに凛上はそんなことを言った。